良質な小説は、思考力を上げ、問題解決や閃きを生む訓練となりうる。
そう思わせてくれるきっかけとなったのが星を継ぐ者、20代に読んで夢中になった小説です。
星を継ぐ者の良質となる理由は読者に推理させる点。
推理小説ではありませんが、読者に推理させるヒントや伏線が各所に貼られています。
読者は、まるで自分がその謎を解いたかの様に思い、興奮します。
良質な小説は、閃き体験を訓練してくれます。
星を継ぐ者の解説
「星を継ぐもの」は、SFファンの間で高く評価されているハードSF小説です。
物語は、月面で発見された赤い宇宙服をまとった死体をきっかけに始まります。
死体の正体は人類に似た存在であり、その謎を解明するために科学者たちが調査を進めていきます。
やがて明らかになるのは、人類の起源に関わる壮大な歴史でした。
科学者たちは、火星と木星の間にかつて存在した惑星「ミネルヴァ」に人類の祖先が住んでいたことを突き止めます。
その星は激しい戦争によって破壊され、惑星そのものが砕け散ってしまいます。
当時、ミネルヴァに住んでいた人類は月にも進出しており、月はもともとミネルヴァの衛星だったとされます。
戦争の衝撃で軌道を外れた月は、現在の地球の衛星となります。
地球の衛星としては異常に大きい月の存在も、この説で説明がつくのです。
月に残された人類の一部は、長い時間をかけて地球へと移動します。
そして彼らが地球人の祖先となり、地球文明を築いていきます。このように、「星を継ぐもの」は地球人のルーツを大胆な視点で描きながら、科学的な知見や仮説を物語に取り入れています。
フィクションでありながらも、実際の天文学や考古学の謎とリンクするような描写が多く、読者は現実との境界線が曖昧になるような感覚を味わいます。
物語全体にわたって、論理的な考察や科学的根拠をもとにした展開が組み込まれており、思わず納得してしまう説得力があります。
また、作者のジェイムズ・P・ホーガンは、こうした複雑な構成を無理なく読ませる筆力を持ち合わせています。
理論的な重厚さと、人類の起源に迫る壮大なロマンが交差する物語は、SF好きにとって読み応えのある一冊と言えるでしょう。
良質な小説を読むと閃きの訓練になる理由
良質な小説を読むことは、単なる娯楽にとどまらず、思考力や問題解決能力を鍛える効果があります。
特に推理小説のように、物語の中に巧妙に配置された手がかりをもとに謎を解く過程は、日常生活やビジネスにおける問題解決に必要な「閃き」の訓練になります。
これは、作中の情報を収集・整理し、推理して答えを導き出す過程が、実際の課題解決の流れとよく似ているためです。
まず、小説に散りばめられた情報は一見バラバラに見えますが、重要な要素が巧みに隠されています。
これを丁寧に拾い上げ、ストーリーの矛盾や人物の言動から真実を導く作業は、現実世界で複雑な問題に直面したときと同じ思考プロセスを要求します。
こうした読書体験を繰り返すことで、読者は自然と観察力と分析力を高め、必要な情報を見抜く力を身につけられます。
さらに、推理が的中した瞬間の「ひらめき」は、仕事や生活で突然解決策が浮かぶときの感覚と同じです。
脳内で断片的な情報がつながり、論理的に一つの結論へと導かれるこの体験を積み重ねることで、脳は閃きを生みやすい回路を作っていきます。
これはスポーツで筋肉が鍛えられるのと同じで、繰り返すほど直感的な発想力が強化されるのです。
ただし、どの小説でも同じ効果が得られるわけではありません。
筋書きが単調で手がかりが明白な作品よりも、複雑で読者に考えさせる仕掛けがある良質な小説ほど、推理と閃きの訓練になります。
たとえば、登場人物の心理描写が細かく描かれ、複数の可能性を考慮しながら読み進める必要がある物語は、特に思考力を磨くのに適しています。
まとめ
良質な小説は単なる娯楽にとどまらず、読者に推理を促し、思考力や問題解決力を養う訓練となります。
特にジェイムズ・P・ホーガンの「星を継ぐもの」は、科学的根拠や論理的な考察を基盤に展開されるハードSFで、読者は散りばめられた伏線やヒントを拾い集めながら謎を解く感覚を味わえます。
物語に没入することで、現実世界での複雑な課題にも対応できる観察力と分析力が自然に身につきます。
推理が的中した瞬間の閃きは、実生活やビジネスでの解決策がひらめく感覚と同じで、繰り返し体験することで閃きの回路が形成されます。
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